みなさんは頭に浮かんだアイデアを実現させるまでどのくらい時間をかけますか?
私にとっての器作りは、いろんな道を経て進んでいきます。それは、陶芸の工程そのもの、例えばろくろでの整形や焼成などといったことでもありますが、もう一つ、アイデアが器になるまでの試行錯誤の過程でもあります。失敗を繰り返し、なんか違うって感じながら、少しずつ改正していく。なんだか、とても遠回りしているようですが、その過程が私にはとても大切だとも感じます。そんな道のりこそ、自分を振り返り、方向を定めてくれ、最後に納得のいくゴールへと導いてくれているからです。
ここ数ヶ月専念していた「まぜこぜ」シリーズの器。実はこれ、アイデアそのものは2011年までさかのぼります。「まぜこぜ」本来の意味は既にあったのですが、当時は、コバルトの一色に専念し、表面の模様ばかりあれこれ考えていました。(その様子はこちら)
その1年後、大学を卒業する頃には、釉薬の色の組み合わせを導入し、正面の模様を2種類だけに絞りました。なかなか気に入ってものができたので、ずいぶんたくさん作り始めました。(その様子はこちら)
ところが、実際展示会やらに出店してみたところ、このシリーズは、私のもう一つの「らくがき」シリーズ(青と白のコンビ)と比べると、お客様の反応がそれほど良くありませんでした。作り方が甘かったのか、インパクトがないのか、理由がなんであれ、がっかりしました。もうこれを作るのはやめようかと思ったこともありました。でも、「まぜこぜ」本来のアイデアだけはずっと消さずに残し、3年間の育児休業。スタジオを復帰した後は、時間が限られていたので、作り方を再検討。形や模様をシンプルにそぎ落とし、新しい「まぜこぜ」シリーズを試みました。
そして、ようやく出来上がった新「まぜこぜ」シリーズ。
表面の模様もなく、形もすっきりシンプル。大きさを幾つか揃えて、重ねたり、混ぜ合わせたりが可能。釉薬の色合わせを楽しめ、マットな表面が料理を無理なく引き立てます。誰にでも何にでも使い易い器を目指しました。そして何よりも、「混ぜ合わせて楽しい」器!
新色の桜色も含め、自分でも満足のいく器に仕上がりました。そのご褒美に、最近ビデオを作ってみたので、ご覧ください。(リンクはこちら)「まぜこぜ」シリーズは9月のイベントに初登場します。どんな風にお客様に見ていただけるか反応が楽しみです。
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