2018年9月5日

日本旅行 作家さん訪問記 3:馬渡 新平 さん

馬渡新平さんの美しい器と我が家の庭で採れた豆

今回の旅の最終地点は北海道。台風が気になっていましたが、なんとか無事に飛行機も飛んで、北海道は余市にお住いの陶芸家、馬渡新平さんご家族を訪ねて来ました。

馬渡さんの器を最初に知ったのは、東京にある器のお店、器千鳥さんのインスタグラムからでした。たくさんの作家さんの作品の中でも、「ヒビ粉引」という独特な表現をされた彼の器に、最も目が止まったのを覚えています。シンプルでありながら、表面の素材感と色合いが生み出す独特のあたたかさ、そして形や大きさの豊富さは、「食」が大好きな(作るのも、盛るのも)人達には、たまらないものでしょう。それは私も同じで、(料理が上手かどうかは別の話ですが(笑))彼のインスタグラムに写される彼の作品を見るのが、楽しみとなりました。

また、彼の器は素敵な料理と一緒に写されています。それは、新平さん一家の家庭菜園(しかも規模が大きい!)で取れた美味しい野菜たち。何て素敵な生活と思う方も多いでしょう。でも、厳しい長い冬が現実の北海道。そんな大変さの中での作陶生活が逆に興味深い点でもあったり、新平さんと奥様と両方のインスタグラムから、子育ての様子も拝見できて、少しずつお二人と会話を交わすようになりました。

新平さん 工房にて

日本滞在を考え始めた頃、北海道の彼らを訪ねてみたら素敵ではないか?と主人に話しました。遠距離だし、色々不安な点もありましたが、それよりも、訪ねてみたい気持ちでいっぱいだったので、新平さんにメールを出してみました。

その時の彼の心のこもった返事にとても嬉しくなりました。「ぜひ泊まっていってください」と。「奥様も同じ気持ちで、きっといいことがあると思える」と。会うのは初めて。インスタグラムでしか接点のない私たちですが、「直感で行動しています」と言われ、何だかとってもワクワクしたのです。私たちも、不安より楽しみの方が大きかったし、「きっといいことがある」と私たちも思え、その直感を信じてお返事させていただきました。


ご親切に小樽駅まで迎えに来ていただいたお二人と一緒に、余市のお宅に向かいました。途中、海岸線と美しい山々が見られ、北海道っていうと広い平原だけを想像していた私にとっては、とても興味深く、何だかほっとする風景でした。

そして着いたお家は、とにかく限りなく広い敷地にあり、新平さんの工房と家庭菜園が並んでありました。

新鮮な野菜を採取する新平さん

新平さんは生まれは違ったものの、小さい頃から北海道で育ったそう。私よりお若い方ですが、独立して15年以上になるベテラン陶芸家さんです。

それでも、私が最近やっとフルタイムになり、なかなか怖くて足が踏み出せなかった話をすると、ご自分も長いこと待っていたらきっとそうだったと思うと。逆に、まだ若くて分からないことも多いままだったからこそ、怖いもの知らずで足を踏み出せたとおっしゃていました。その後、初めの頃のいろんな失敗や経験を超え、作法も変えた時期もあったそうです。


現在作っていらっしゃる新平さんの器は、そんな長い経験と知恵と技術の詰まった素晴らしい作品ばかりですが、かといって気取った雰囲気は皆無で、器を手に取る人を優しく暖かく迎えてくれます。

新平さんの「ヒビ粉引」は独特な黄色と表面の素材感が特徴で、私も実際に見て手にしてみて、もっともっと好きになりました。窯の位置によって、焼成温度が違うため、同じ作品でもそれぞれ釉薬の流れ方や色合い、質感が違っています。それこそ、器を取る人が選ぶにあたって楽しい点でもあるのでしょう。

灰釉をつかった器や刷毛目の器も
果樹園でいただいたという灰を湧き水で洗って

また、白粉引や、刷毛目、地元の果樹園でいただいた灰を使った灰釉の作品もあり、工房いっぱいのバラエティ豊富な器たちに魅了されます。

食事の時間の度、選ぶのが楽しくなる器たちが沢山

新平さん宅での時間はとても楽しいものでした。その日に採ってくださった新鮮な野菜を、奥様が美しく食卓に盛ってくださって、全てが美味しくて美しい!いつもは好き嫌いや食べ方にムラがあるサブリナも、採りたての甘~いトマトを美味しそうにパクリ!嬉しかった。

私個人的には、奥様のセンスにもとても感心しました。器だけでなく、料理に使う機材を選ぶセンスや、その置き方や並べ方など、素敵と思えるものがいっぱい!多分、「何をこの器に盛って」って考えたりするのが好きなんでしょうね、というと、嬉しそうにされた奥様。「食」のお店をやっていた経験があるとのこと、なるほどです。

サブリナも採れたてトマトににっこり

もう一つ、この旅の嬉しかったことは、サブリナが先方のお嬢さんととても仲良くなれたこと。偶然同い歳で、すぐに溶け込んで、日本語でも会話が出来ました。育った国が違っても、遊びは子供の共通点。シールやら、風船やら、着せ替えごっこやら、かくれんぼやら。あまりに楽しくて、その夜には二人とも大はしゃぎで笑顔と笑い声がいっぱい。そうやって仲良く遊んでいる二人の光景は、旅の特別な思い出に残りました。

心配さんご一家の皆さんには本当に感謝したします。ありがとうございました。器も思い出も大切にしますね。


新平さんのインスタグラムはこちら

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